少食のほうが良いことを理解するためには、今の栄養学って本当に正しいの? と疑問を持つことが大事です。

面白いエピソードがあります。

明治初期には、外国人がたくさん日本へやって来ました。その中にベルツという医学者がいて、彼が残した手記に驚くべきことが書かれています。

ある日、ベルツは馬で東京から日光まで14時間かけて行きました。その日は途中で馬を6回乗り替えました。馬は速く走れるけれど長い時間は走れないのです。

2回目の日光行きに、ベルツは人力車に乗って行きました。その車夫は、なんと1人で14時間半で行ってしまいました。

馬は6頭を乗り換えて14時間、車夫は一人で14時間半、ベルツはとても驚きました。

小さな日本人の馬より凄いこの体力は一体どこから来るのか、彼は実験を始めました。人力車夫を2人雇って、肉類などの高タンパク・高脂質のいわゆる西洋式の理想の食事を食べさせて、体重80キロの人を乗せて、毎日40kmを走らせたのです。

車夫は3日目で疲労が激しくなってしまい、元の、米や大麦、イモや栗などに戻して欲しいとベルツに懇願したそうです。

それで粗末な和食に戻すと、車夫はまた元気に走れるようになったのです。

ベルツはドイツの栄養学が日本人にはまったくあてはまらず、日本人には日本食が良いという事を確信したそうです。

今の日本で基本とされている近代栄養学というものは、戦争に負けた後、アメリカによって導入されたものです。

パン、牛乳、肉を食べるのが健康に良いと喧伝され、米食は劣ったものと印象づけされました。

ぼくも物ごころついたころから、パン、牛乳、肉が身体に良いものと思い食べてきました。若い頃は、洋食がオシャレでカッコイイくらいに思っていました。

見事に、アメリカが期待した通りの日本人になっていたのです。

日本人を健康にしようという意図で、アメリカが教えてくれたと思うのはお目出度い考えでしょう。これについては別の機会に書こうと思います。

この近代栄養学を日本に持ち込む以前に、アメリカはドイツから導入しています。

カール・フォイト博士(ミュンヘン大学)という人が、この栄養学の生みの親です。彼は「肉類、牛乳、チーズ、卵などは高栄養なので大量に食べよ。炭水化物は低栄養なので控えよ」と推奨しました。

ドイツ軍部は彼の庇護者でした。肉食は大きな体と捧猛な性格を生み出すので、兵士として最適の資質となるのです。こういう経緯で、肉食を中心とするフォイト式栄養学は採用されました。

さて、何か恐ろしい話になってきましたね。