輸入されている養殖サーモンに問題があることは以前から知っていましたが、グリンピースの署名活動が始まっているのでこの機会に書くことにしました。

南米チリのサーモン養殖場周辺では、赤潮が異常発生し、大量の魚介類や海鳥、鯨などが死んで、深刻な環境破壊が進行しています。鮭の養殖は、チリ国外から大企業が参入し独占状態で行われています。貪欲に利益追求するため、ここでも地元への配慮は成されていません。

先祖から受け継いだ漁場を大企業が破壊したため、昔からその場所で漁業をしてきた地元漁師たちの漁獲量と収入は激減しているのです。

この養殖サーモンは、日本の皆さんにもすでに問題を投げかけています。店頭で美味しそうに見える「輸入サーモン」には、人体にとって有害なさまざまな物質が残留しています。

養殖されるサーモンの餌には、遺伝子組み換え作物、オレンジになる色素、殺虫剤、PCBが混入した脂肪、フナムシを殺す化学薬品、集団感染を防ぐ抗生物質などが入っています。これは、ノルウエー産であっても大差ありません。皆さんは、それを知らずにレストランや回転寿司、家庭で食べているわけです。

日本人がサーモンを比較的安価に沢山食べることができる裏には、知りたくなかった不都合な現実があります。つまり、生産地を環境破壊し現地の人々を困窮させ、同時に消費地の人々の健康を害する行為が、大企業の利益のために行なわれているのです。

そして、それぞれの国の政治家は大企業の立場だけを擁護します。この構図を変えないことには、市民の健康も幸せも遠のくばかりです。冷静に観察すれば、世の中の多くのことが養殖サーモンと同じ構図の中にあることをあなたも氣がつくはずです。

これまでは欧米の大企業が発展途上国の人々から搾取する構図が目立っていましたが、近年は先進国の人々も給与を下げられ時に解雇される搾取の構造にあることが顕になってきました。

ほとんどの市民は、どこかの企業に所属しそこから給料をもらいローンを払っています、多かれ少なかれそうした呪縛があります。その職を失ってしまえば、現金収入がなくなり一遍に不安定な生活となってしまいます。それぞれの方に、世にはびこる理不尽に対してNO!とは簡単に言えない事情があるでしょう。

わたし達は、一市民としては被害者であり、企業に属する立場としては加害側に加担している場合もあるわけです。そうした現状から何を考え何を行うのかは、悩ましく難しい問題であり、それぞれの方が決めるべきことだと思います。

それでも、多くの人が何かを少しずつでも変えなければ、現状を良き方向へ向けてゆくことはできません。きっかけとして、誰にでも先ずできることは「そうした問題のある商品を買わない」という意思表示だとぼくは考えています。

消費する行為は、投票でもあるのです。多くの人が買わなければ、その商品は存在できなくなるのです。あなたにできることを、始めていただけると幸いです。