岡本よりたかさんによる年間セミナーの2回目です。

午前中の座学は、先月の補足から始まりました。「植物の化学」ということでスライド6枚の説明を受けましたが、ぼくは「化学」の授業が一番きらいだったことを思い出しました。化学記号と分子構造図に馴染めなかったのです。しかし、それは野菜作りに不可欠な知識であるようです。

植物はデンプンとタンパク質とミネラルでできていますが、自然界にある物質から植物が受け取り利用して育つまでの過程には様々な化学変化があるのです。その仕組みを知れば野菜が美味しく育つための理由がわかり、知らなければ多くの場合は土壌成分が歪になり美味しく安全な野菜から遠ざかることになるのです。

この日のテーマは「畑の設計」でした。・氣を見る。・風を見る。・草を見る。・土を見る。・水を見る。・光を見る。・史を見る。といった観点から統合的に設計してゆきます。このブログで説明するのは難しいので、記憶に残った言葉を一つ紹介します。「野菜は人の手で育てられてきたので、成長ホルモンがでにくくなっている。だから、人の手がなにがしら必要になる。」ということです。

たっぷりのインプットを一応理解しましたが、復習しないと忘れてしまいそうです。

午後は素晴らしい晴天下、畑で畝作りです。Canvas の畑は同心円状にレイアウトしていますが、それはよりたかさんの畑設計にもおおよそ合致するものです。

畝作りの前に、先月蒔いた種の発芽状況をチェックしました。雑草は取り除き、芽がでていないポットには追撒きします。野菜の芽と雑草の芽の区別がつきにくく初心者には難しい作業です。今年は3〜4月の気温が異常に高かったので発芽管理は難しかったということです。

畝作りは、根の深くなる雑草は取り除き、30cmの通路と90cmの畝にしてゆきます。形ができたところで、先月作った未だ完熟していない堆肥を畝に広げて表土と混ぜ合わせます。その上に草木灰を撒いておきます。1ヶ月後の定植には良い状態になるそうです。

この畑には本来必要ないのですが、セミナーなので天地返しの畝作りも行いました。初期に十分な土壌改良を行う必要がある土地に行うものですが、上部の土と下部の土を左右に分けて膝下くらいの深さに畝の中央を掘ります。そこに枯れたススキを敷き、その上に広葉樹の落ち葉、その上に糠を塊にならないように撒きます。

土を戻すときは、上部にあった土を先に戻し下部にあった土が上にくるようにします。こうすることで、土の中の微生物は緊急事態となり盛んに増殖を始めるということです。

岡本よりたかさんの言うところの「無肥料栽培」とは、化学肥料と動物性肥料は使わないということです。自然界にある資材を畑の状態を見ながら補って、土壌中の共生と循環を自然の営みに近づける工夫は行います。人間が畑から野菜として収穫することで、奪ってしまうものは必ず出てしまいます。良い土壌バランスになった畑でも、特にミネラル分は不足することになるのです。

最後に、トマトの支柱とネット&雨よけの設置を行いました。よりたかさん流のやり方は支柱の片方だけを傾けます。支柱を傾斜させた下側のみに苗を植えて、その分は苗間を狭めるそうです。雨よけを設置する理由は「トマトの実割れ」対策なのですが、よく耳にする雨が当たって割れるという理由ではなく、根に水分が行き過ぎることで実が割れるという解説でした。

セミナー終了時間が過ぎてもこの作業が終わらなかったので、これは次回までに集まれるメンバーで行うことになりました。

畑で力を合わせて作業することで、セミナー参加の皆さんもだいぶうちとけてこられたようです。なにかを一緒にする体験は素晴らしいものですね。