とても趣のある映画館へ行ってきました。
本当にこの辺りにあるのだろうか?時々とんでもない所を表示するナビを疑いだしたころ、「テアトル石和」はブドウ畑と住宅の混在する狭い道路の先に、突然ぽつんと姿を現しました。
なんと形容したらよいのでしょうか。ぼくは、ロードムービーのひとコマに居るような錯覚を覚えました。妙なノスタルジック感がある場所です。映画館内も昭和レトロな雰囲気です。壁の換気扇からは太陽光が細く差し込んでいて、それも趣とみなせばゆるせます。
ぼくが大学生のころ行った東京の小さな映画館に似ている感じですが、ブドウ畑が隣にある周りのロケーションが、それとは違った初めて感じる雰囲気を作っています。
山梨県のことを知らない方のために少し説明しますが、県内には映画館が4か所しかありません。「テアトル石和」は、そのうちの一つで石和温泉の一角にあります。
石和温泉は、昭和36年に初めて温泉が噴出してから急発展した温泉街です。高度経済成長期には、団体旅行客向けの歓楽街として全国的にも知られていたそうですが、ぼくは山梨県に移住してから知りました。
時代は変わり、団体旅行の減少によって街の賑わいは去り訪問客はかなり少なくなっていると思われます。それと共に、この映画館を訪れる客も減っていることは明らかですが、「テアトル石和」は残ってほしいと思いました。
今回は、以前から観たいと思っていた「この世界の片隅に」が1週間だけ上映されるということで訪れました。山梨県では、この種の映画を観る機会がほんとうに少ないのです。ハリウッドの大作ではない映画を上映する場所があるのは嬉しいことです。そういったことも含めて、残ってほしい映画館です。
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